フィギュアスケートのペア競技を観ていると、演技直前に選手がパートナーの衣装の腰付近や自分の手に、何かを吹きかけている場面を見かけることがあります。
ミラノ・コルティナ冬季オリンピックに出場している「りくりゅう」ペアが競技までに腰のあたりにスプレーを吹きかけていて気になった方も多いのではないのでしょうか。
このスプレーの目的は滑り止めです。
ペアスケーティングは男女2人1組で行われる競技で、シングルにはないリフトやスローといった要素が大きな見どころです。
特にリフトでは、男性選手が女性選手の体を支え、頭上まで持ち上げる場面もあり、ほんのわずかな滑りやズレが演技の完成度だけでなく、安全性にも直結します。
一方で、フィギュアスケートの衣装は、演技の美しさを最大限に引き出すため、サテンやシフォンなど滑りやすい素材が使われることが一般的です。
さらに、氷上での演技による汗や緊張も加わり、手や衣装は想像以上に滑りやすい状態になります。
そこで登場するのが、今回のテーマであるスプレーです!
この記事では、フィギュアペアの選手が競技前にかけているスプレーの正体について紹介します。
フィギュアペアが競技前にかけるスプレーは「グリップスプレー」
フィギュアペアの選手が競技前に衣装や手に吹きかけているものは、グリップ力を高めるための粘着性スプレーです。
海外では「sticky spray」や「grip spray」などと呼ばれることが多く、手や衣装の表面に軽い粘着性を持たせる目的で使用されます。
このスプレーの最大の特徴は、ベタつきすぎず、氷上での動きを妨げない点にあります。
見た目は霧状で、制汗スプレーや整髪料のようにも見えますが、実際には摩擦を高めるためのスポーツ用補助アイテムです。
フィギュアスケート専用品としてではなく、バスケットボール選手や体操やポールダンス、チアリーディングなど、身体を支え合う競技で使われるグリップ向上スプレーと同じ仕組みを持っています。
ペア競技では、男性選手が女性選手の腰や胴体をしっかりと支える場面が多くあります。
スプレーを衣装の腰部分などに軽くかけることで、手と衣装の間の摩擦が増し、安定したホールドが可能です。
テーピングや滑り止め素材を衣装に縫い込む方法も考えられますが、それでは衣装のデザインや柔らかな動きが制限されてしまいます。
スプレーであれば、必要な部分にだけ使える点も特長です。
このように、フィギュアペアで使われるスプレーは、リフトやスローを安全かつ安定して成功させるための、いわば縁の下の力持ち的な存在と言えます。
スプレーはフィギュアスケート特有のものではない
フィギュアペアで使われるグリップ用スプレーは、特定のフィギュアスケート専用品というより、他競技で使われているグリップ向上スプレーと同系統のものです。
体操、チアリーディング、ポールダンスなど、身体を持ち上げたり支えたりする競技では、以前から同様の製品が使われてきました。
これらのスプレーは、吹きかけた直後は液体ですが、空気に触れることで表面に薄い粘着層を作ります。この粘着層が、手と衣装、あるいは手と肌の間の摩擦を高める役割を果たします。
接着剤のように強力に固定するものではなく、あくまで滑りにくくする程度に調整されているのが特徴で、演技中の細かな手の動きや体の入れ替えを妨げることはありません。
また、基本的に水溶性なので、洗うとすぐに取れます。
実際にペア選手の中には、腰付近の衣装だけでなく、自分の手のひらに軽く吹きかけてから演技に入るケースも見られます。
もちろん、スプレーの使用が演技の補助であって、技術そのものを代替するものではありません。
リフトやスローの基本は、正しいフォームとタイミング、そして長年の練習によって培われた筋力と信頼関係ですので、スプレーは、その完成度を安定させるための補助的な存在です。
このような製品の存在を知ると、フィギュアペアの演技は、単なる華やかなパフォーマンスだけではなく、細かな準備と工夫の積み重ねによって支えられていることが分かりますね。
フィギュアペアでの細かな仕草にも注目!
フィギュアペアの競技前に選手が衣装や手にかけているスプレーは、グリップ力を高めるための粘着性スプレーです。
リフトやスローといった高難度技を安全かつ安定して行うための実用的な工夫と言えます。
ペアスケーティングは、男女2人が息を合わせ、氷上で一体となって演技する競技。
その中でもリフトは、成功すれば大きな見せ場になりますが、同時に高いリスクも伴います。
滑りやすい衣装素材や汗による影響を補うため、スプレーによって摩擦を調整し、確実なホールドを実現しているんですね。
観戦する側にとっては一瞬の出来事ですが、その裏には安全性や完成度を高めるための細かな配慮があります。
フィギュアペアを観る際は、演技そのものだけでなく、こうした準備や工夫にも目を向けてみると、競技の奥深さをより感じられるでしょう!


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