年末が近づくと話題になるのが「大晦日に掃除をしてはいけないのか」と話題になります。
トレンドにも上がり、「本当にダメなの?」「知らずにやっていた…」と気になった人も多いのではないでしょうか。
この話は単なる迷信ではなく、日本に古くからある年末年始の風習に由来しています。
そして、その点で「掃除を避けたほうがいい」とされる日は大晦日だけではありません。
この記事では、
- なぜ大晦日の掃除が避けられてきたのか
- 日本には他にも掃除を控えるとされる日があるのか
- 海外では同じような習慣があるのか
といった点を、事実と風習を切り分けながら解説していきます。
大晦日に掃除を避けると言われる理由
大晦日は「年神様を迎える準備の日」
大晦日は、単に1年の最後の日というだけではなく、
新年にやって来る「年神様」を迎えるための大切な日と考えられてきました。
年神様は、家に新年の幸せをもたらすために高い山から降りてくる神様です。
そのため、掃除そのものが悪いのではなく、
大晦日に掃除をすると、一緒に追い払ってしまう
と受け取られてしまうことが、縁起が悪いとされた理由の一つです。
実際には「絶対にやってはいけない」わけではない
ここで大切なのは、神様を大切にする信仰から生まれた文化・風習の一つということです。
現代では仕事や家庭の事情で、大晦日にしか掃除ができない人も多く、実際に大晦日に掃除をしても問題が起きるわけではありません。
ただし、こうした背景を知っておくことで、「なぜそう言われてきたのか」が理解でき、
年末年始の過ごし方を考える一つのヒントになります。
大晦日以外にもある?日本で掃除を避けるとされる日
「掃除をしてはいけない日」は実は大晦日だけではありません。
日本の伝統的な風習を見ていくと、実は他にも掃除を控えたほうがいいとされてきた日がいくつか存在します。
ここでは、代表的なものを順番に紹介します。
12月29日|語呂合わせで縁起が悪い日
12月29日も大掃除を避けたほうがいい日としてよく挙げられます。
その理由はシンプルで、語呂合わせによる縁起の悪さです。
「29」=「二重苦」
といった連想から、昔から縁起を担ぐ家庭では避けられてきました。
もちろん、これも正式な禁止ではありませんが、
年末の掃除は29日を避け、28日までに済ませるという考え方が広まった理由の一つです。
元日(1月1日)
元日は、新年が始まる特別な日です。
前述の通り、この日は年神様が家に訪れているので、
この日に掃除をすると、せっかくやって来た福を掃き出してしまう。
と考えられてきました。
三が日(1月1日〜3日)
元日だけでなく、三が日全体を通して掃除を控えるという考え方もあります。
これは、年神様が家に滞在している期間と考えられていたためで、同様に神様を追い出す行為にああたる。
と考えられています。
松の内まで
さらに一部の地域では、松の内が明けるまで掃除を控えるという考え方もあります。
松の内とは、
門松などの正月飾りを飾っておく期間を指し、
- 関東地方:1月7日まで
- 関西地方:1月15日まで
と言われています。
この間は年神様が滞在しているとされ、大きな掃除を避ける地域もあります。
ただし、これは地域差・家庭差が非常に大きく、
現代ではほとんど意識されなくなっている風習の一つでもあります。
海外にも「掃除NGの日」はある?
ここまで日本の風習を見てきましたが、
ふと気になるのが、
「海外にも、掃除をしてはいけない日ってあるの?」
という点です。
結論から言うと、
日本とまったく同じ感覚の「掃除NG文化」は多くありません。
ただし、国や地域によっては、日本とよく似た考え方が存在します。
東アジアでは旧正月期間の掃除はNG
中国、台湾や韓国などでは、日本の正月にあたる旧正月(春節)に同じ様な風習があります。
この地域では、年末に大掃除をするという文化こそあまりないものの、
日本と同じように運気が掃かれてしまうの意味で掃除をすることが控えられています。
欧米には特になし
一方で、アメリカやヨーロッパなどの欧米諸国では、
特定の日に掃除をしてはいけない、という考え方は特に存在しません。
年末年始であっても、 汚れたら掃除をするくらいの非常に実用的な考え方が主流です。
風習と現代生活、どう付き合うべきか
ここまで見てきたように、日本や東アジアには大晦日や正月に掃除を避けるという風習が確かに存在します。
といっても、
これらの話は法律でも、宗教的な絶対ルールでもありません。
忙しい現代の生活では
無理に風習を守ろうとしてストレスを感じるくらいなら、
自分の生活に合ったタイミングで掃除をする方が健全だと言えるでしょう。
まとめ
「大晦日に掃除をしてはいけない」と聞くと、何か強いルールやタブーのように感じてしまいがちですが、
実際には日本に古くから伝わる風習の一つに過ぎません。
重要なのは、掃除をしたから不幸になる、しなかったから幸運になるという話ではないという点です。
現代では、生活スタイルも価値観も大きく変わっているので、無理に風習を守ろうとして負担になる必要はありません。
ただ、こうした背景を知っておくことで、
年末年始の過ごし方に少しだけ意味や余裕を持たせることができます。
風習に縛られすぎず、気持ちよく年末年始を迎えましょう。

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